脈診とは何か
― 体の現在地を知るということ ―
鍼灸では、手首にそっと触れて脈をみます。
血圧や脈拍数を測るものとは少し違い、
東洋医学でいう「脈診」は、体全体のバランスを知るための方法です。
強いか弱いか。
深いか浅いか。
張りがあるか、やわらかいか。
その微細な違いから、今の巡りの状態を読み取ります。
特別なことのように感じられるかもしれませんが、
脈は本来、とても素直なものです。
体の状態は、指先に静かに伝わってきます。
脈は「今」を映すもの
脈は、その人の体質だけでなく、
その日の疲れや緊張、季節の影響までも映します。
春は少し張りが出やすく、
冬は内に沈みやすい。
脈は、体の“現在地”を教えてくれます。
症状だけでは見えないこと
肩こりやのぼせ、眠りの浅さ。
同じ症状でも、原因となるバランスは人それぞれです。
巡りが滞っているのか。
土台がやや不足しているのか。
気が上に偏っているのか。
脈をみることで、その違いが見えてきます。
だからこそ当院では、
症状の強さだけでなく、まず脈を大切にしています。
経絡治療と脈診
当院では、伝統的な「経絡治療」という方法を行っています。
経絡治療は、体を流れる気血のバランスを整える治療法です。
そしてその判断の軸となるのが脈診です。
脈をみて、
どの経絡が弱いのか。
どこが過剰なのか。
どこから整えるのが自然か。
刺激は強ければよいわけではありません。
必要なところに、必要なだけ。
脈は、整える方向を示す“地図”のような存在です。
未病の段階で整える
体のバランスは、自分ではなかなか分かりません。
けれど脈には、
まだ症状になっていない小さな偏りもあらわれます。
東洋医学には「未病」という考えがあります。
不調が大きくなる前の、静かなサインの段階です。
脈診は、その段階に気づくための手がかりになります。
整えることは、
不調をなくすことだけではありません。
これからを穏やかに過ごすための準備でもあります。
当院は完全予約制で、
静かな時間の中、脈を丁寧に拝見しています。
脈は、からだの声です。
その声を聞くことから、整えることは始まります。